カルメット

カルメット カメラ屋 オーガスト マガジン

プロ御用達のカメラ・ストア「カルメット」。アメリカ、ヨーロッパに店舗を広げ、世界を舞台に活躍するフォトグラファーたちにとっては心強い存在。専門性の高さと卓越したサービス力で、進化し続けるフォトグラフ業界の常に一歩先を行くカルメットの魅力をご紹介する。




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アメリカの主要都市に10店、イギリス、ドイツなどヨーロッパに17店ほどあるカルメットは、一般にはあまり名前が知られていない。この、プロ・フォトグラファー御用達の専門店は、75年前にシカゴでステンレスの台所シンクの会社として始まった。その後フィルム・プロセスの機械を製造する会社だった20年ほど前から、店舗を増やし小売業にも進出。いまでは、Canon、Nikon、Hasselblad、Mamiya、 Leafなど、ハイエンドなカメラ・照明機材ブランドの販売の他、独自ブランドの開発・販売も行っている。また、国際的なレンタル・ネットワークの駆使、様々なプロ向けのイベントやセミナーの開催で、いまやカルメットの評価は揺るぎないものになっている。



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「徹底したカスタマーサービスが、カルメットが最も力を入れていることです」というのは、LA店マネージャーのジーン・リー氏。スチール、ムービーの機材はほとんどのものが揃えられており、「東京のフォトグラファーがLAで撮影したいときでもこちらにご連絡いただければ安心ですよ」とアピールする。特筆すべきは、レンタルサービス部門の取り組み。「Try-Before-You-Buy」というレンタルサービスでは、最新モデルのレンタルを推奨。30日以内に購入に至れば、レンタル額の半分が戻ってくるというプログラムだ。また、店舗がある地域では、レンタル機材をホテルの部屋まで届けてくれるサービスもあるそうで、旅先の、スケジュールの慌しいフォトグラファーにとっては心強い味方だ。


さらにカルメットでは、1年ほど前から、一眼レフデジタルカメラ内部のセンサーをクリーニングするサービスをスタート(現在のところ、ニューヨーク、シカゴ、ボストン、サンディエゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスの6店舗のみ)。デジタルカメラが主流になりつつある昨今では、センサーに付着するホコリがフォトグラファーを悩ましている。「皆さん自分でクリーニングするのを怖がってますからね(笑)」とリー氏。カメラの外側のホコリを徹底的に取り除いたあと、特別な装置を使ってセンサーをクリーニング。予約が必要だが、30~45分くらいで終了し、費用は$60。メーカーに送るよりもはるかに安くスピーディなサービスが受けられる。


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この他にも、各店舗で行われるさまざまなセミナーやイベントは集客の目玉。PhotoshopやLightroomなどのソフトウエア講座から、効果的な照明のセットアップ方法を教えるもの、女性モデルのグラマーショット撮影会まで。定員10~20名の少人数制なものも多く、料金は昼食付きの一日のセミナーでも$35~$99とリーズナブル。移り変わりの激しい昨今の撮影業界を生き抜く、現代フォトグラファーのニーズにあったサービスといえるだろう。


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今後の写真業界について、リー氏は「数年後にはビデオとスチールカメラは完全に一つのものになるでしょうね」と見込んでいる。「Canon 5D MarkIIにしても、録画時間は短いけれど高画質のビデオを撮影できるようになっている。次にCanonが出すプロ用デジタルは、もっと長いビデオが撮れるようになっていくでしょうし……。スチール・フォトグラファーも、スチールとビデオの両方をこなせないといけなくなりますね。ビデオ撮影とFinal Cutなどのソフトウエアを学ぶ必要が出てくると思います。当店でも、これからビデオ編集クラスもやっていこうと考えています」と、先見性の光るサービスでさらに勝負をかける。


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LA店で最も売れているカメラは、CanonやNikonのプロ用デジタルだというが、これからはフィルムという存在はどうなっていくのだろうか?「なくなることはないと思いますね。今でもフィルムしかやらないフォトグラファーはもちろんいますし、ニッチなアートの形として残っていくと思いますよ」と静観する。「これから10年間は写真業界のテクノロジーはさらに様々な変化が起こっていくと思います。ハイエンドなカメラの値段もここ数十年で大分下がりましたし。さらに早くて、鮮明で、安いものが出てくるでしょう」。カルメット、一度訪れるだけでもたくさんの学びが得られそうだ。


 取材場所 ハリウッド カリフォルニア
 取材 / 撮影 堀口 美紀
 編集 / 校正 高田 友美
 発行人 池上 奨
 版元 オーガスト マガジン


当頁は2009年から2011年にかけて発行されたエンタテインメント業界向けの無料情報誌「オーガストマガジン」をオンライン向けに再構成したものです。尚、記事や写真の無断転載及び無断引用は禁止いたします。



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